レッドリストって名前は聞いたことがあるかと思いますが、どんなリストなのか見たことはありますか?
レッドリストとは「絶滅のおそれがある野生生物のリスト」で、いわゆるこの世から消えてなくなってしまいそうな生物が書かれています。
国際自然保護連合(IUCN)が作っているこのレッドリストの中で、最も絶滅の恐れが高いとされる3つのカテゴリーには、2016年9月の時点で約2万種もの野生生物がリストアップされています。
ぼくが支援しているWWFではレッドリストの意義についてこう語っています。
レッドリストに掲載された野生生物は、単にその危機が明らかになっただけで、すぐに法的な保護下に置かれるわけではありません。これらの野生生物を絶滅の危機から救うためには、生息地のある国や地域が、それぞれルールや手立てを講じて保護しなければならないのです。【引用元】レッドリストについて|WWFジャパン
絶滅の危機にある野生生物を守るのは、IUCNやWWFの人達ではありません。その野生生物の生息地に一緒に暮らしているぼく達なんです。
そこでより一般の人たちにも身近に感じてもらうためなどの理由で、レッドリストはIUCNだけでなく、日本の環境省でも作られており、さらに細かく各都道府県ごとにも作られています。
この各都道府県で作られているところまでは良かったのですが、地方自治体によっては、国からの命令でただ作っただけで10年以上改訂もしていないところがありました。
今回2016年12月27日現在ということで、日本各都道府県のレッドリスト一覧を作ってみましたので、是非ご自分の住んでる地域のレッドリスト、また生まれ故郷のレッドリストを見て下さい。
文中にあるレッドデータブックとは、レッドリストに基づき、より具体的な内容が記載されたデータブックのことです。
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日本全国47都道府県のレッドリスト
北海道
最終改訂が2016年としっかり改訂されている。リストがシンプル過ぎる作りになっているので、一般の人向けにもう少し工夫して欲しい。
北海道レッドリストについて | 環境生活部環境局生物多様性保全課
青森県
最終改訂2010年とそんなに古くはない。レッドデータブックがリストのように文字だけでとても見やすいとは言えない。
青森県レッドデータブック(2010年改訂版)について|青森県庁ウェブサイト Aomori Prefectural Government
★秋田県
最終改訂履歴も2016年で、レッドリストもレッドデータブックもしっかり作られている。中身もとてもしっかり書かれており、見たくなる作りをしている。レッドデータブックのデータが一括ダウンロードしかないのは少し残念。
「秋田県の絶滅のおそれのある野生生物 秋田県版レッドデータブック2016 動物Ⅰ」の発刊について | 秋田県公式ウェブサイト 美の国あきたネット
岩手県
レッドリストもレッドデータブックも作られているのだが、ファイル形式での配布はしていない。web版のレッドデータブックは見やすいとは言えない
宮城県
最終改訂は2016年と最新なのだが、リストの作りがExcelで作ったファイルをただPDFファイルにしただけのものとなっており、見やすくない。
宮城県レッドデータブック2016について – 宮城県公式ウェブサイト
山形県
鳥類、昆虫類についての最終改訂は2015年となっている。しかし動物編は2002年から改訂されていないようで、とっても残念な感じ。
リストも一箇所にまとまっておらず、全てを見ようと思うとまず探す手間がかかる。
新潟県
紙で作られたレッドデータブックをスキャンしてPDFファイルにしてあるため、インクが裏抜けしていて非常に見づらい。どうしてこれで良しとしたのだろうか?
レッドリストに関しては「両生類・爬虫類編」が今年改訂されている。
新潟県:貴重な野生動植物の保護(レッドデータブック・リスト)
福島県
福島では東日本大震災での影響で、現在も見直し調査中のようだ。リストはどこを探しても中間案しか存在しなかった。
ふくしまレッドリスト見直し調査について – 福島県ホームページ
★茨城県
レッドデータブック植物編は2012年だが、動物編は2016年とかなり最新の情報となっている。
1冊1,000円以上で販売しているだけあって、中身は写真も豊富に使われており、かなり見やすく、見ていて楽しい作りになっている。
栃木県
現在参照出来るデータは2011年が最新版となっているが、サイトに改訂状況が丁寧に記載されていて、実に親切だと感じた。2018年に発行予定のレッドデータブックが楽しみだ!
群馬県
2012年が最新版となっており、リスト中身も見づらい。いかにも命令されて渋々作ったという感じがしてならない。
埼玉県
レッドデータブックは割りとしっかり作られてるものの、動物編が2008年、植物編が2011年とかなり古い情報だ。
さらにこのレッドデータブックを販売もしているようだが、こんな古いレッドデータブックを購入する人はいるのだろうか?埼玉県民としてかなり残念だ!
千葉県
2011年版が最新と記載されているが、2015年までは改訂が行われている。
レッドデータブックは写真がありしっかり作られてはいるが、千葉県生物多様性センターのサイトは作りが古くて見づらい。
東京都
最終改訂は2013年。かなり膨大な量でしっかり作成されており、さすが日本の首都という感じだ。
レッドデータブックとは別にこんなサイトがあるのは凄い。【参考】東京都レッドデータブック
希少な野生生物に対する対策|東京都環境局 緑の創出と自然環境の保全
神奈川県
神奈川県のホームページでは情報提供をしてないなく、自然環境保全センターのサイトから参照するようになっている。ファイルのダウンロードなども一切出来ない。さらに最終改訂は2006年とかなり古い。
山梨県
平成17年が最新版となっており、PDFファイルもないし、改訂履歴もない。テキスト形式かCSV形式でのデータが見れるが、これは誰に見てもらおうと思って作ったのだろうか?残念過ぎる。
山梨県/山梨県レッドデータブックについて(平成17年6月公開)
長野県
動物編では2015年が最新版となっている。PDFファイル、原稿ファイルと用意されているが、中身はとても見やすいとは言えない。
静岡県
2004年が最終改訂。作りっぱなしって感じ。レッドデータブックも2004年版が最新版で、さらに販売しかしておらず、ネットでの公開をしていない。
静岡県出身のぼくとしてはと〜っても残念でならない。リストの中身もただ名前を羅列しただけで、見やすい工夫がまるでされていない。
愛知県
レッドリストは2015年が最新だが、レッドデータブックは2009年から改訂されていないようだ。
データベース型のサイトも作りが古く、とても見やすいとは言えない【参考】レッドデータブックあいち2009
富山県
2012年が最新改訂。PDFファイルでもExcelでも配布をしておらず、サイトからしか見れない。つまりオフラインでは見れない。
富山県の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブックとやま2012-|富山県
石川県
2009年版が最新のようである。レッドデータブックとしての情報はもう少し欲しいと感じた。
石川県/ いしかわレッドデータブック動物編2009 インデックス
岐阜県
動物編は平成21年、植物編は平成26年に改訂している。知事の挨拶がPDFファイルで観れるのに、肝心なレッドリスト、レッドデータブックはweb上でしか見れない。
福井県
2004年から全く改訂されていないようだ。レッドリストを作成する予算がないのか、興味がないのかどっちなんだろう?
滋賀県
2010年版が最新のデータみたいだけど、リストはExcelでしか見れないみたい。レッドデータブックはただのリストにしか見えない。
京都府
2015年版が最終改訂。サイトも中身もしっかり作られているけど、PDFなどのファイルとしてダウンロードが出来ないのは残念。
大阪府
2014年が最新版のようで、中身もしっかり作られているが、改訂履歴はどこに書いてあるのだろうか?
奈良県
平成18年が最終改訂のようだが、それも定かでない。書いてあることは立派なんだけど、サイト自体があまり更新もされていないみたい。
三重県
2015年版が最新。3,000円で販売されているだけあって、中身もしっかり作られている。
三重県|自然環境総合:「三重県レッドデータブック2015」を発刊しました!
和歌山県
2012年版が最終改訂。レッドリストはとても見にくいが、レッドデータブックはとても見やすく作られている。こちらも3,000円で販売されている。
和歌山県レッドデータブック【2012改訂版】|和歌山県ホームページ
兵庫県
最新版は2012年となっているが、サイトの作りが古く、とても見れたものではない。と言うか、どこを見たら良いのかもわからない。
鳥取県
レッドリストは2012年が最終改訂。リストの文字はとても細かく、見る気が失せる。
しかし!!レッドデータブックは写真が掲載されており、とても見やすく作られている。
レッドデータブックとっとり/緑豊かな自然課/とりネット/鳥取県公式サイト
岡山県
レッドデータブックは割りとしっかり作られているけど、2009年が最新版ではね・・・
岡山県版レッドデータブック2009 絶滅のおそれのある野生生物
広島県
最終改訂は2011年。レッドデータブックと書いてあるが、内容はレッドリストで、しかも見づらい。
絶滅のおそれのある野生生物(「レッドデータブックひろしま2011」)レッドデータブックについて – 広島県ホームページ
島根県
動物編2014年、植物編が2013年の最終改訂。サイトは見やすく作られているが、ファイルでの配布はないようだ。
改訂しまねレッドデータブック(2014動物編・2013植物編)
山口県
平成14年に刊行されたようだが、しっかりとした刊行年が記載されておらず、改訂履歴もない。
データベース形式で作られたサイトはあるが、ファイルの配布はなし。
香川県
2004年に作ってそれっきりって感じ。
Google AdSenseという広告を載せてる地方自治体のサイトは初めてみた。どうなんでしょ?
徳島県
平成25年が最終改訂履歴で、わかりやすく書いてある。
レッドデータブックに写真が掲載されていないのは残念だが、レッドリスト、レッドデータブック共にしっかり作られていて見やすい。
高知県
植物編が平成23年に改訂されているが、実に見にくく内容が乏しい。
高知県のレッドリスト・レッドデータブックについて | 高知県庁ホームページ
愛媛県
最終改訂が2014年。サイトはかなり見やすく作られているが、ファイルでの配布はなし。ネット環境のない人はどうしたら良いんでしょうね?
愛媛県レッドデータブック RED DATA BOOK EHIME
★福岡県
2014年が最終改訂。サイトはオシャレで可愛らしく見やすいし、リストもPDFファイル、CSVファイルでのダウンロードが可能となっている。
レッドデータブックに写真は使われていないが、内容はしっかり書かれていて見やすい。
佐賀県
植物編は2010年版があるが、その他は2003年。。。
PDFファイルでのダウンロードは出来るが、分野ごとに分かれておらず、一括でのダウンロードしか出来ない。これは実に不親切。
長崎県
2011年が最新版。リストはあまりにシンプル過ぎる。そしてレッドデータブックと名前は書いてあるが、どこから見れるかわからない。レッドリストとレッドデータブックを同一のものと考えているのだろうか?
大分県
2011年が最終改訂。サイトのデザインが崩れていて見れたものではない。サイトの管理者は不在のようだ。
熊本県
レッドリストは2014年で、レッドデータブックは2009年が最終改訂。
レッドリストはリストらしくシンプルで、レッドデータブックは様々な情報が書いてあり、なかなかわかりやすく作られている。
宮崎県
2010年が最終改訂。レッドリストがExcelでしかダウンロードできないのは残念。
さらにレッドデータブックは4,500円も出して購入しなくては見ることが出来ない。他の地方自治体が無料で見れるのに、なぜ宮崎県は購入しなくては見ることが出来ないのだろうか?何のために作ってるのか聞いてみたい。
鹿児島県
平成26年が最終改訂。リストはただ名前が羅列してあるだけ。
レッドデータブックはネット上で観ることは出来ず、宮崎県と同じく書籍を購入しなくては見れない。
沖縄県
平成18年が最終改訂みたい。本土と違って沖縄県にしかいない生き物がたくさんいるので、レッドリストを1番しっかり作って欲しいところがこれではちょっと悲しい。予算の関係なのだろうか?
まとめ
ぼくは決してレッドリストをしっかり作っていない地方自治体に文句を言いたくてこんなリストを作ったのではありません!
あなたの住んでる地域にも、レッドリストが作られていて、身近に絶滅してしまいそうな生き物がいるってことを知って欲しかったのです。
それと、国際自然保護連合(IUCN)が作ったレッドリストにキリンが絶滅危惧種として加えられたことで、もっとこのレッドリストを身近なものとして考えてもらいたいと思って、この記事を書きました。
★印をつけた、秋田県、茨城県、福岡県みたいに素晴らしいレッドリストとレッドデータブックを作ってる自治体もありますので、他の自治体もそうなるよう願っています。
以上、息子のためにも自然を守りたいと考えてるぱすも(@jpasmo)でした! 最後まで読んでくれてMahalo…(`・ω・´)ゞ