自分が苦労して見つけた錬金術を、ぼくはあなたに教えることはないと思う。
ぼくなんかは本当に小さな人間なので、金を作り出す方法なんて見つけたりしたら独りじめしたいから。「おれのお宝は誰にもあげないぞ!」ってなっちゃうと思う。
そんな心の小さい人ばかりではないにしても、ほとんどの人がぼくと同じような行動になるんじゃないかな?
でも今回ご紹介する本の著者は、ぼくみたいに小さい心の持ち主ではなく、で〜っかい心の持ち主なので、自分で見つけた錬金術を惜しみなく教えてくれているのです。
ここで言う錬金術とは、クリエイターにとって重要なアイデアの生み出し方です。
アイデアの生み出し方の本と言えば、ジェームス W.ヤングのアイデアのつくり方が有名で、他にはこの前紹介した『超ノート術』なんかもアイデアを生み出すための本です。
【関連】あとから見返すのが楽しい自分専用のアイデア帳が作れるようになる!『超ノート術』著者:佐藤ねじ
しかしこれらの本が、思いついたネタをアイデアとするまでの方法が書かれているのに対して、本書はそのネタを閃かせる方法が書いてあるのです。
アイデアの前にそもそもネタが思い浮かばなくて困ってる人がほとんどだと思いますが、この本に書かれた48項目の具体的な支持を実行するだけで、素晴らしいアイデアが舞い降りてくるのです。
目次
『降りてくる思考法』
著者:江上隆夫
大手広告代理店アサツーディ・ケイにてクリエイターとして、さまざまな起業の広告制作とブランド構築にかかわる。2005年有限会社ココカラを設立し独立。以後、売上数億円から数百億円規模のクライアントのブランド運営にかかわっている。 【著者プロフィールより引用】
20年近く大手広告代理店でコピーライター及びクリエイティブ・ディレクターとして働いていて、いまでも色んなブランド運営に関わっていることからも、まさにクリエイターとして第一線にいる方です。
ごくごく具体的でシンプルな質問
アイデアが浮かんでくる可能性というのは誰にでもあるのですが、みんながアッと驚くような素晴らしいアイデアは、誰にでも思い浮かんでくるようなものでもありません。
これは“降りてきにくい思考”の真っ只中にいるからだと言うのです。
“降りてくる”を体験した著名人が何人かいて、その中で小説家村上春樹さん、Googleの創業者ラリー・ペイジさん、Amazonの創業者ジェフ・ベゾスさんなどの体験が書かれています。
彼らと一般人との違いをこう言っています。
彼らは、ある意味、一般の人より、こうした脳内環境づくりに慣れているだけなのです。 【p6より引用】
それならばぼくも脳内環境づくりに慣れることで、“降りてくる”を体験出来るということになります。
ではどうやったらアイデアの“降りてきやすい”脳内環境づくりが出来るのでしょうか?
具体的には“ごくごく具体的でシンプルな質問”を自分に投げかけるのです。【p6より引用】
脳を狭く小さく使う48のスキル
本書では著者が仕事の中で体験的に学んできた、あるいは気づいてきた、さまざまなスキルが9つの分野で具体的に48個書かれています。
9つの分野とは
- 変える
- なくす
- くっつける
- 盗む
- 〜だとすると
- 見えるようにする
- 調べる
- 捨てる
- ちょっとだけをちょっとだけ
この中で『くっつける』ところをご紹介します。
くっつけるには4つの質問があります。
- くっつくはずのないものをくっつける
- 違う分野のものをくっつける
- 同じ分野のものをくっつける
- とりあえずくっつけてみる
ぼくが新しいアイスの新商品を生み出したいとします。その時にこの質問をぶつけてみると、色んなものをくっつけたアイスが浮かんできます。
まず「くっつくはずのないものをくっつける」からは、コーヒー味と紅茶味をくっつけたアイス。たくわんとバニラをくっつけたアイス。まぐろの刺身とチョコレート味のアイス。うん。どれもとっても不味そう。
次は「違う分野のものをくっつける」からは、泳ぎながら食べるアイス。山頂で食べて美味しいアイス。お箸で食べるアイス。う〜ん。なかなか難しい。
3つ目は「同じ分野のものをくっつける」から、ポッキーアイス、ポテトチップスアイス、ラムネアイス。これはどれも美味しそう。
そして最後「とりあえずくっつけてみる」から、海藻サラダアイス、カレーアイス、お寿司アイス。なんだこれ?
脳内環境づくりが下手なぼくでも、とりあえずこれだけのアイデアを浮かばせることが出来ました。アッと驚くようなアイデアは出てこなかったですけどね。
やってみて感じることは、すごくアイデア出しの『練習』をしてるって気分になりました。
本書の最後で「こうした思考は大変愚直な作業です。」と書かれていましたが、それがよくわかりました。
まとめ
世の中を席巻するアイデアのほとんどは、考えて、考えて、考え尽くしたあとの空白のときに、ポンと“降りてくる”ものがほとんどです。
本書に書かれた内容は、読むだけでなく実践してみるとよく理解出来ます。
ぼくは今回『アイス』についてちょっと考えてみましたが、これを続けたら本当に素晴らしいアイスのアイデアがポンと“降りてくる”ような気がしました。
今真剣に考えていることは『アイス』の新商品ではなく違うことなので、そのことに対して48の質問をぶつけ、たくさんのアイデア出し練習を続けたくなりました。
尚今回の書評は、レビュープラスさんより献本を受けて書いております。
レビュープラスさんについてはこちらの記事をどうぞ
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以上、アイデア出し練習が好きになってるぱすも(@jpasmo)でした! 最後まで読んでくれてMahalo…(`・ω・´)ゞ